東京警察病院にて初期臨床研修を修了、以降 東京医科大学病院にて
研修アレルギー疾患対応や有害業務リスク管理等、産業衛生を皮膚科専門医の立場からもサポートする。
下方 征

 「色の白いは七難隠す」といわれるように、日本では古来より平安美女のような白い肌が好まれてきました。また現在から15年ほど前には、若年層の女性の間でいわゆる「ガングロ」なる日焼けブームが到来しました。日焼けした「小麦色の肌」と、透き通るような「美白」、医学的にはどちらがより健康的なのでしょうか。
 健康的というと答えは難しいのですが、美容面で有利なのは「美白」です。慢性的な紫外線の暴露は、将来的にシミやシワの原因となるため、「美白」に励むことで、それらを予防することが可能です。それもあり、現代の女性の間では「美白」に軍配が上がっているのでしょう。


 さて、産業現場に目を向けてみますと、日焼けを好む好まざるに関わらず屋外作業では太陽光に暴露されます。特に土木建設業、農業、漁業、林業、スポーツ産業に従事する労働者の紫外線暴露は慢性的で長時間にわたります。
 適量の紫外線が健康に良いことは古代エジプトより知られており、現代においても乾癬(かんせん)やアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患の治療に使用されています。しかし一方で紫外線は皮膚がんの発生リスクを上昇させることも知られています。

 WHOの外部組織であるIARC(国際がん研究機関)は、「太陽光曝露 (Solar radiation)」を「アスベスト」や「喫煙」と同等の、最も発がんリスクの高いGroup1に指定しています。これは紫外線による発がんリスクの高い白人にとっては大きな問題です。欧州では労働時間の75%以上、太陽光線に暴露される労働者数は1,450万人いるとされており、皮膚がん防止のための対策が課題とされています。  白人ほど発がんリスクは高くありませんが、日本人でも特に色白の肌の方には有棘細胞がんの発生予防のため、紫外線防御が奨められています。事業者は屋外労働者に対して、帽子、長袖シャツ、サングラスの着用、サンスクリーン剤(日焼け止めクリーム)を使用し過度な日焼けを防止するよう指導することは大切です。


 環境省では過度の日焼け防止のための対策として以下の6つの項目を上げています。


1、紫外線の強い時間帯を避ける。
2、日陰を利用する。
3、日傘を使う、帽子をかぶる。
4、衣服で覆う。
5、サングラスをかける。
6、日焼け止めを上手に使う。

 紫外線の影響は地域や個人によって異なることを理解した上で、過度な日焼けは避けるよう、皮膚科医や産業医による教育が産業現場においても必要です。上記を参考に、皆様も職場での日焼け対策について是非考えてみてください。



参考文献
European Agency for Safety and Health at Work (2009) New and emerging risks in occupational safety and health :Exposure to ultraviolet radiation (pp. 12-13)
日本皮膚科学会『皮膚科 Q and A 日焼け』< http://www.dermatol.or.jp/qa/index.html>(2014/9/18閲覧)
日本皮膚科学会編 (2007) 『皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン』金原出版
環境省編 (2008) 『紫外線環境保健マニュアル2008』




■ 下方 征 略暦

下方 征
平成16年 名古屋市立大学医学部 卒業
平成18年 東京警察病院にて初期臨床研修を修了、以降 東京医科大学病院にて研修

アレルギー疾患対応や有害業務リスク管理等、産業衛生を皮膚科専門医の立場からもサポートする。