労働衛生コンサルタント 日本医師会認定産業医
中澤 祥子

 

新型コロナウイルス感染症が再度増加しており、不安な日々を送られている方々も多いかと思います。さて、新型コロナウイルス感染症を疑う症状として、最も重要視されているものはなんでしょうか?

そうです、発熱です。

今日は体温についてお話させていただきます。
今は飲食店や小売店でも非接触型の体温計で計測しており、以前よりも体温を計測する機会が多くなったのではと思います。また、出社の基準について体温を1つの目安としている企業様も多いのではと思います。会社のリスク管理として、客観的な指標である体温はわかりやすいのでよく使われるかと思います。
国が定めている感染症法の発熱の定義は37.5℃以上、高熱は38.0℃以上です。

ただ、もし高い値が出たとしても、1台の体温計では誤作動や疑陽性(本当は、発熱ではないのに発熱の基準値を超えている)の可能性も否定できません
体温計を変える、早朝に測り直す等の工夫をするといいでしょう。


前提として、100%体温計が信頼できる値にはなりません。特に、腋窩温(わきの下で測る体温計)は直腸温(手術などで使われる直腸に体温計を入れて計測する方法)よりも使いやすいものの、正確性が低いと言われています。また、舌の下に体温計を入れる口腔温もありますが、腋窩よりも少し高めに出ると言われています。1つの研究結果では、腋窩温10分値で36.67±0.36℃、口腔温は36.96±0.28℃でした1

 

さて、体温計が37.5度を示したり、37度ちょっとなど微妙な値を示したりした場合に、皆さん不安になるのではと思います。
しかし、そもそも人の体温は早朝が最も低く、夕方は高めです。さらに日内変動と言って0.5℃程度の日内変化があり、場合によっては1.3℃まで日内変動幅が広がると言われております2


また、女性では月経前のタイミング(黄体期)や経口避妊薬内服中は0.5℃の体温上昇が見られるといいます3。そのため、37℃台の体温が夕方頃に1回出たからといって、それ以外の風邪症状など体調不良が全くないのであれば、心配しすぎることはありません。

加えて、平熱に個人差があることから、平熱が低い方で36℃台後半になるとフラフラするという方もいると言います。

個人差があるため、本人の体調不良の自覚が一番大事かと考えられます。発熱があればもちろんですが、体調不良があるときは、発熱がなくても無理せずお休みしましょう。

体温計を販売しているテルモ株式会社のホームページ4でも、体温について詳細に記載されていますのでご興味のある方はご覧ください。

 

【参考文献】
1. 相原まり子、他 日本生気象学会雑誌,30(4), 159-168, 1993

2. SAPIRA’s Art & Science of Bedside Diagnosis 5th edition, 2019

3. 金城光代、他 ジェネラリストのための内科外来マニュアル 第一版、2013、医学書院

4. テルモ株式会社ホームページ テルモ体温研究所

 

中澤 祥子 【略歴】
・労働衛生コンサルタント、日本医師会認定産業医、社会医学系専攻医、産業衛生学会専攻医