株式会社日立製作所日立健康管理センター 産業医 渡辺 祐哉

 

 今や、日本人の2人に1人ががんになる時代になりました。がんは高齢者の病気と思われがちですが、国立がん研究センターから発表された論文によると、生活習慣や感染症も原因となることも多いことが分かってきました。心筋梗塞や脳卒中と同じように、今現在の生活習慣ががんの発症に関連し、逆に言うと日頃の生活習慣でがんの発症は予防できるのです。そこで今回、最近の研究で分かってきた、“がんリスクを半減させる5つの生活習慣”について記載してみます。

 

(1)禁煙する
 日本人を対象とした研究結果から、たばこは肺がん、食道がん、すい臓がん、胃がん、大腸がん、膀胱がん、乳がんなど多くのがんに関連することが分かっています。受動喫煙についても、肺がんや乳がんのリスクが高まると言われています。自らの健康障害防止と、周囲の方のためにも禁煙することをお勧めします。

 

(2)食生活を見直す
 「塩分の取りすぎ」や「野菜や果物をとらない」「熱すぎる飲み物や食べ物をとる」は避けた方が良いと分かってきました。これらに注意することで胃がんや食道がんのリスク低減につながると言われています。
目安は食塩摂取量、男性8.0g未満・女性7.0g未満、野菜については、350g/日以上が推奨されています。

 

(3)節酒する
 多量の飲酒は食道がん、大腸がんなどとの関連が示されています。適量であれば、リスクを高めない事も分かっていますので、お酒はほどほどにしましょう。適量とは日本酒だと1合、ビールだと瓶1本程度が目安になります。

 

(4)適正体重を維持する
 太りすぎても痩せすぎても、がんによる死亡リスクが高まる事が分かっています。適正なBMIとしては男性で21.0~26.9、女性で21.0~24.9と言われています。

 

(5)身体を動かす
 身体活動量が高い人ほど、結腸がん、肝がん、膵がん、胃がんなどでリスクが低下することが分かりました。およそ毎日60分程度の歩行OKです。忙しい毎日で60分も確保するのは難しいと思われますが、その場合は連続60分でなく、合計60分でも構いません

 

 いかがでしょうか。比較的当たり前と思われることが並んでいると感じた方は、健康に対する意識が高い方です。上記の5つに気をつけるだけで、がんリスクをほぼ半減できると報告されています。まずは1つずつで構いませんので、取り組んでみたいですね。

 

 また、上記の生活習慣に加えて、細菌やウィルス感染からもがん発症との関連が指摘されています。ピロリ菌と胃がん、肝炎ウィルスと肝臓がん、ヒトパピローマウイルスの16型・18型と子宮頸がん、といったような組み合わせが代表的です。これらに関してはがんの発症前に治療することで予防することが可能です。

 

 今後、働く方の定年が引き上げられるなかで、がんは職場により身近な存在となっていきます。今のうちから少しずつ出来ることを行って、がんのリスクを下げておきたいですね。

 

 

 

■渡辺 祐哉【略歴】
産業医
信州大学医学部卒業。
長野県内の市中病院で臨床研修を終え、現在の(株)日立製作所日立健康管理センターに勤務。
専属産業医に従事