産業医 永田 英恵

 

 この時期は美味しいものも増え、宴会の席も増え、体重の数字も増え…がちですよね。どんな職場を訪問しても「まぁこの時期は仕方ないな」「この時期に健康診断なくて良かったー」「新年明けてから心機一転ダイエット頑張ろう」という声も少なからず聞こえてきます。今日は少し気が早いですが、新年明けてのダイエット/取り組みに、ぜひフォーカスしてほしい「会社の習慣」の視点についてお伝えします。

 

【会社の習慣が生活習慣】

 職場で過ごす時間は1日の活動時間の実に半分以上。生活習慣というとプライベートな印象も受けますが、実は会社の習慣こそ、皆さんの健康を作っている生活習慣そのものになります。例えば規則的な勤務時間でデスクワークが多い仕事の方。座っている時間が長く、活動量も少ないのではないかと思います。その結果、肩こりや腰痛になったり(プレゼンティーズムの状態)、加齢に伴いメタボになりやすいといった傾向がみられることがわかっています。また営業職や接客業の方など顧客都合で自らの生活リズムが作りにくい方は食生活が乱れやすく、早食いにもなりがちで菓子パンやファストフードといった、すぐに食べられるものを選び、血糖値を上げる要因につながっています。その結果、メタボや糖尿病につながっていきます。1)

 

【類は友を呼ぶは本当だった!?肥満も伝染するし、禁煙も伝染する?!】

 また同じ勤務体制の人が集まれば、その部署に最も適した=楽な勤務状態となり、同じ職場で働くメンバーは似たような体型になったり、同じような疾病を発症しやすくなる、職場の特性を反映することになります。
「類は友を呼ぶ」といいますが科学的に証明されたハーバード大学医学部の研究があります。これはアメリカ・マサチューセッツ州フラミンガムで行われた心血管疾患の危険因子の多くを明らかにした長期の疫学研究で、研究チームは12,000人以上の人たちを対象に32年にわたって健康状態を調査し続けました。
そこには一人が太ると親しい友人も太るという、誤解を恐れずにいうと「肥満は伝染する」「メタボの友達はみんなメタボ」という傾向が明らかにされたのです。2)

さらにこの研究では肥満だけではなく、一人が禁煙を始めると周りに禁煙が波及していくことや幸せも伝染していくという「いいことも伝染していくこと」がわかっているのです!

 

 新年明けて「健康」に向けて新たな目標を立てる際にはぜひ、会社での習慣を見直してみてください。そして目標はスモールステップで、続けられるものを。皆さんが、職場全体が、より快適で健康的な環境になりますように!

 

【参考】
1)幻冬舎「会社の業績は社員の健康状態で9割決まる」 古井祐司著
2)https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMsa066082

 

 

■永田 英恵【略歴】
産業医/労働衛生コンサルタント
メンタル法務主任者/株式会社PhileLife代表取締役
総合診療、離島医療、訪問診療を経て
その人の生活に近いところから人の健康を支えたいと産業医に。
「働く」「健康」「幸せ」をキーワードに都内中心に活動を展開している。
2017
年から東京大学先端科学技術研究センター人間支援工学分野にて障がいをもった人の働き方の研究に携わっている。