■一日何回くらい怒りを感じますか?
日々の仕事の中で、思うようにならない状況や人に対して、怒りの感情がわいてくることは、よくあるのではないでしょうか。怒りがわいてきたとき、その場で発散させる人、場を変えて愚痴を言って解消する人、他の事を考えて気をそらす人、表に出ないように抑えようとする人、など、様々な対処法があります。
ここでは、そもそも怒りとは何なのか、自分あるいは周りの人が苦しまないように「怒り」をうまく扱う、ということを考えてみたいと思います。

 

 ■怒りが及ぼす影響
怒り感情は、ストレスや抑うつだけでなく、心筋梗塞などの身体的な疾患と関連していることが示唆されているように、怒りを作り出した本人がダメージを受ける可能性があります。また、怒りを表出することで、人間関係に悪影響を及ぼすこともあります。一方で、適切に怒りを表明することによって膠着した状況に風穴を開けることができることもあります。

 

■怒りの根っこをみる
怒りを上手く扱うには、怒りの根っこをみることが役立ちます。
なぜ怒りが起こったのか、怒りのもとになっている自分の価値観は何なのか、を分析するうちに、もう一人の自分が怒っている自分を見ているように視点が切り替わることがあります(これを「メタ認知」といいます)。そして、怒りが自分自身の思い込みや考え方のクセから生まれているかもしれない、という気付きが生まれます。
怒り自体を消そうとするのではなく、違った角度からみることで、捉え方が変わるのです。

 

■さっとできる怒りへの対処法
また、怒りについてゆっくり分析する余裕もないような場合には、次のことを試してみるのはいかがでしょうか。

 ①鏡を見て怒っている自分の顔を見る(こんな恐ろしい顔をしているのだ・・・と冷静になるかもしれません)。

 ②体の感覚に意識を向ける(首の後ろの張りや、肩がすくんでいることに気付くことがあるでしょう。その時はまず、ゆっくり首を回したり、肩を上げ下げしたりして体の強張りをほぐします)。

 ③「時間が解決してくれることもあるさ」と考えて、すっきりしない状況も受け入れて、放っておく(嫌なことをなかったことにするのではなく、受け入れるというのがポイントです)。

 

◆最後に
「怒りのようにネガティブなものは、なくさなければならない」という力みがあると、逆に怒りにとらわれてしまいかねません。ネガティブな感情が自分の内側にあることに気付きながらも、“感情やそれを引き起こした出来事に反応せず距離を置いている状態”を、心がけてみませんか。

 

■日下 慶子【略歴】
 京都大学大学院医学研究科(公衆衛生学)博士課程在学中。国立がん研究センター中央病院にてがんサバイバーの研究に携わる。
日本貿易振興機構アジア経済研究所開発スクールを修了後、精神科研修を経て産業医の道へ。
現在、新日本有限責任監査法人、等の嘱託産業医を務める。興味分野は、外国人労働者や海外勤務者の健康管理、メンタルヘルスと法務、ボディワークによる心身のケア、など。