株式会社i CARE代表取締役
東京ベイ・浦安市川医療センター経営企画室室長 山田 洋太

 

こんにちは。産業医の山田です。

さて今回は、厚生労働省が発表している平成25年と26年の精神労災の原因から、職場でのストレス原因が男性と女性で異なるのか、私自身の経験も踏まえてデータを見ていきましょう。

 

1. 精神労災の決定件数の半分は「人間関係」が原因

平成251193件、平成261307件の出来事の類型を原因に分けると、50.4%が「人間関係」、18.4%が「過重な業務量」、17.6%が「業務ミスや事故」、6.4%が「職場の環境変化」となります。一般的に働くひとがストレスを感じる3大原因は、「職場の環境変化」、「業務内容や業務量」、「プライベートでの環境変化」と言われているため、納得の出来るデータではないでしょうか。転職や異動、昇進、上司が変わるといった職場の環境変化は、そのまま職場での人間関係に変わっていきます。また忘れがちなのが、「業務ミス」です。部署全体、会社全体に影響のあった「業務ミス」は、その当事者を極度の不安にし、不安障害、不眠症、うつ病へとつながっていきます。


2. 男性は経験、女性は目撃でストレスを感じる

それでは男性と女性において原因は異なるものでしょうか?

精神労災原因の中で、大きな割合を占め、かつ男女差のあるものを見ていくと面白いことが判明します。“病気やケガをした”ことが原因となるのは、男性7.4%・女性4.3%であり、男性の方がストレスを感じることが多いようです。男性の方が重量物を扱い、ケガをしやすい労働環境にいるということも考えられるでしょう。しかし、このデータも見て下さい。“悲惨な事故や災害の体験、目撃をした”ことを原因としているのは、男性6.2%・女性12.1%となっています。つまり女性は、大きな事故を目撃することもストレスに大きく影響すると、男性以上に認めていることがわかります。


3. 多くの女性が人間関係、上司とのトラブル、ハラスメントで悩む

次に紹介する精神労災の原因は、今の職場環境を物語っているのではないでしょうか?

“嫌がらせ、いじめ、暴行を受けた”は男性10.5%・女性15.2%、“上司とのトラブルがあった”は男性17.2%・女性22.1%、“同僚とのトラブルがあった”は男性2.6%・女性4.3%、“セクシュアル・ハラスメントを受けた”は男性2.6%・女性10.2%となっています。

女性の方が人間関係において大きなストレスを抱え、悩んでいることが分かるかと思います。特にセクハラが10%も原因に入っているという事実は、日本が政策として掲げている女性にとって働きやすい環境づくりを阻害する大きな要因になるのは言うまでもありません。

4. 最後に
男性と女性でストレスを感じるポイントが異なるのは当然のことでしょう。
生物学的な違い、家庭やライフステージでの役割の違いがあることを常に意識しながら、働くひとの健康を創っていくことをしなければなりません。

 

■ 山田 洋太先生 略歴

山田 洋太
金沢大学医学部医学科卒業
2005年 沖縄県立中部病院研修
2008年 医療(久米島)に従事
2012年3月 應義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了

大学院と並行して心療内科を学び、一般内科とともに現場での診療も継続中。 現在、株式会社i CARE代表取締役、東京ベイ・浦安市川医療センター経営企画室室長。