川崎重工業では、2004年にそれまでの福利厚生制度を整理統合してカフェテリアプランの導入を決定。若年世代への配慮、グループ内各社での制度統一、など明確なクライアントの理念のもと、詳細な制度構築がイーウェルに任せられた。
川崎重工業では、2004年に人事から福利厚生まで幅広い制度の再検討を行った。その中で、福利厚生制度に関しては、これまで個別に積み上げられてきた諸制度を統廃合して、カフェテリアプランを導入することが決定された。
どの制度を廃止し、どの程度の原資をどこに充当するか、といった制度の基本プランはすでに社内で検討されていたが、その前提には、若年世代・子育て世代への補助を厚くし、世代によって会社の支援度合いを調節する、という基本理念があった。
通常、カフェテリアプランというと全従業員に一定のポイントを付与して自由に使ってもらう公平性がメリットの一つだが、川崎重工業では、若年世代では年配世代に比べて最大40%ほどポイントの付与が高くなる。
委託先の選定時には、これらの基本理念を具体的な制度に落とし込む詳細設計のコンサルティング能力とシステム構築力が求められ、イーウェルが委託先に選ばれた。
制度構築における第1の課題は、グループカンパニー間での制度統一である。
川崎重工業では、事業部分社した川崎造船、カワサキプレシジョンマシナリ、カワサキプラントシステムズの3社を含めてグループカンパニーが構成されていた(2010年10月1日より再統合)。そのグループカンパニー間で、一貫性のある統一された制度の構築が求められた。
その背景は人事異動。もともと事業部だったということもあり、中核会社をふくめて出向、転籍が多く、グループ内各社の人事異動が多い、という特徴があった。特に、事業のリストラクチャリングに際しては人の出入りも多くなるし、組織の統廃合を行っていく上では出向制度は手続き上のボトルネックになりかねない。また、転籍したことによって制度が大きく変わって不公平感が生じると、グループ各社間の人的リソースのダイナミズムが失われてしまう。機動的にグループ経営を進める上でも、各社の制度統一が必要だった。
こうしたことから、主要なグループ会社では同じ内容で制度展開するという方針があらかじめ決まっており、詳細な仕組みの構築がイーウェルに求められた。
関連会社の制度は、親会社の制度に似たものではあったが、実際には住宅制度がある会社と無い会社では原資の規模が異なる、など細かい点ではさまざまな違いがある。イーウェルでは、住宅制度を原資にしたポイントと住宅制度が無い会社のポイントを分けて管理するなどの工夫でグループ内の制度統一を図った。
制度構築における第2の課題は、外部サービスとの連携である。たとえば旅行積立や海外赴任者向けメニューなどだ。旅行積立は、永年勤続旅行手当の代替として設計された制度で、カフェテリアポイントで旅行の費用を積み立てることができる。実際に積み立てられるのは、JTBか日本旅行の積み立てプランで、利用者はJTBか日本旅行と個人契約を結ぶ形になるが、カフェポイントを使うのでイーウェルで申し込みのシステムを構築している。イーウェルが提供している社内のカフェテリアプランのパソコン画面から申し込むことができ、イーウェルで加入状況やポイントを管理して請求精算を行う。ここではJTB、日本旅行と個別にシステム連携している。また、海外赴任者向けにカフェテリアプランの海外メニューがある。こちらはマニュアルで案内しており、業務を委託しているエクセルインターナショナルのホームページから申し込む形になるが、利用ポイントや申し込み状況などはイーウェルがシステム連携して管理している。こうした外部サービスと必要に応じて連携することで、利用者にとって使いやすく魅力的な制度となっていった。
制度構築を進める中でクライアントのニーズとして浮かび上がったのが財形貯蓄関連の定型業務のアウトソーシング「BPO」だ。
前述の様に川崎重工業では、財形貯蓄制度において利息分をカフェテリアポイントで補助しているのだが、この制度の利用者はあちこちに散らばっている。実に15の事業所がありそれぞれに利用者がいるため、各事業所に財形を管理する事務処理担当者が必要になる。また、毎日使うものでもないので従業員側も手続きの仕方や申請書類の書き方などを覚えることもなく、毎回のように問い合わせや書き間違い、修正のためのやりとりなどの業務がたくさん発生していたのだ。
この財形貯蓄制度の申し込み受付業務を、イーウェルが提供する「BPO」サービスで一括代行しシステム化によってコスト削減とサービス向上を図ることになった。紙の申込書はウェブ画面からの申請に統一され、記入のしやすさや記入漏れのチェックが可能になった。
また問い合わせはイーウェルのオペレーションセンターで一括して対応し、窓口が不明、問い合わせても不在、といった従業員側の不便も解消されることになった。コスト面でも、各事業所で対応していた人件費が節約され、相当額の効果となった。
2005年に導入が開始された川崎重工業のカフェテリアプランは、順調に運用され利用が進んだが、何年か運用するうちに当初予想していなかった課題も明らかになった。そのためイーウェルでは3年目に改善プロジェクトを行った。
カフェテリアポイントの利用実態データの分析と従業員アンケートから明らかになったのは、年配層への強化とマニュアル類の改編が必要だということだった。基本理念として若年層への配慮を打ち出したため、ある程度予想されたことではあるが、50代以上の年配層のカフェテリアポイント消化率は決して高くなく、また不満の声も聞かれた。提供メニューも30代40代の子育て世代向けのサービスが多く、50代以上の年配層には使い勝手があまりよくなかった面もある。このため、改訂では財形年金貯蓄やパック旅行、ゴルフ、などピンポイントで年配層向けのメニューを拡充した。
一方、カフェテリアポイントの利用パターンの分析から、期初に計画的に積み立てる使い方が多く、期中の任意のタイミングで使われる随時ポイントの使われ方が低いことが分かった。この分析結果への対応として、マニュアル類を刷新し利用促進を図った。
当初からカフェテリアポイントの利用は決して低かったわけではなく、全体では87%の消化率を維持していたが、これらのきめ細かい改訂対応後は、92%まで上昇した。企業が従業員のために用意している原資が、90%以上その目的通りに利用されているわけであり、カフェテリアプランの導入としてきわめて成功した一例と言えるだろう。
いつも大変お世話になっております。
早いもので導入後5年が経ち、おかげさまで社内にすっかり浸透しました。
現在は90%以上の消化率を実現していますが、これもイーウェルさんからの適切なアドバイスがあったおかげです。本当に感謝しております。
今後も経済状況が不安定な中、また従業員のニーズが変化していく中、制度や運用を変えていく必要があるかと思います。
イーウェルさん、それからユーザー企業の皆さんとともに、”求められる福利厚生制度”を継続し、従業員の活力、生産性の向上につなぐことができればと思っております。
今後ともよろしくお願いいたします。










